境界についてⅡ

前回、家を建てるとき・土地を買うときには、境界がハッキリしている事が大切であることをお話しさせていただきました。
実は、「土地の境がどこかご存知ですか?」とお訊ねすると、「役場に行けばわかる!」「法務局に行けばわかる!」とおっしゃる方が非常に多いのです。
しかし、残念なことに、公の機関でわかるのは一部の土地だけなのです。
この理由について、少しお話しさせていただきます。
土地の地番・面積・地目(宅地・田などの種類の事)・所有者は法務局で登記記録として管理されていますが、必ずしもすべての土地の正確な図面があるわけではありません。
古い話になりますが、江戸時代が終わるまでは、土地は各個人が所有するものではありませんでした。(○○藩の土地はそこのお殿様が治めるという具合に)
従って、地番などは必要ありません、年貢さえ徴収できればよかったのです。
それが、明治時代になり、土地が個人の所有へ、年貢から税金へ移行することになり、政府はそれぞれの土地に地番を付けて、その種類・面積・所有者を調査して管理することが必要となりました。
これが明治の地租改正事業と言われるものなのですが、この様に日本全国を一斉に調査する事は、なんと豊臣秀吉の太閤検地以来の大事業であり、それ以来、現在に至るまで行われていないのです。(これは国の怠慢だとしか言いようがないと思いますが・・・)。
この地租改正の時に各土地に地番を付け、何番の土地がどこにあるかを表した地図と、その地番・地積(面積)・種類・所有者を記載した台帳が作成されました。
この地図・台帳が現在の法務局の登記記録の原型であり、その後申請や事業によって記録が変更されたものを除き現在でも使用されているのです。
日本全国という膨大な範囲の調査・測量を、しかも短期間に行ったのです。
当時の測量の技術や精度は現在に比べて低く、正確性に欠ける部分が多々あることは当然とも思えるのですが、驚くべきは、その明治の測量結果が今も登記記録として使用されているという事ではないでしょうか。
現在、国や市町で国土調査事業として、新しい測量と地図の作成が実施され、明治の記録を修正していますがまだまだ出来ていない地域がたくさんあります。
また、図面はあっても、図面上のポイントが現地ではどこなのかまでハッキリさせることは大変困難な事で、ほとんどの場合-だいたいこのあたり-程度のものです。

唯一、平成以降に測量し法務局に登記をした土地については、正確な測量図が届けられており、この図面を基に境界を探すことが可能となっています。
このようなことから、「役所で境界がわかるのは一部の土地だけ」とお話ししたのです。
従って、「境界がどこか」となると、お互いが現地で立会って「ここで間違いないですね!」という確認をすることが最も重要なのです。

 

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