境界についてⅢ

前回までに、境界はお互いが立ち会って「ここで間違いないですね!」という確認をして、境界がハッキリしている事が大切であることをお話しさせていただきました。
では、どんな土地なら境界がハッキリしているのでしょうか?
それは、簡単なのですが、一目瞭然で「ここが境界ですよ」と言ってくれる目印がある土地なのです。
通常、専門家によって境界の確認が出来ている土地には、各ポイントに金属の釘や、矢印の入ったプレート、プラスチックの杭など、境界を明示するものが設置してあります。
これらを、私たち専門家は「境界標」と呼んでいます。
みなさんも一度は見たことがあるのではないでしょうか?
お散歩の途中など、少し、足もとを見渡しながら歩いていると意外とたくさん見つけられると思います。
では、境界はどうやって決めるのでしょうか?
周囲の土地所有者と現地で立ち会って、「お互いの境界はここで良いですか?間違いないですか?」と確認するのです。
このように境界を確認する事は、個人同士でも可能なのですが、お互いで自由勝手に決めてしまうには問題があります。
なぜなら、土地に関しては役場や法務局に資料がある場合が多く、これらの資料と相違する場合は、いくらお互いが納得していても、公には通用しません。
せっかく話し合って決めた境界が間違っていた、意味がなかったと言うことにならないようにするは、やはり専門家に依頼し、確認し、調査を得て、実施することをお勧めします。
近年は、境界に関する意識も高くなり、後日の紛争も未然に防ぐため、決まった境界に前述の「境界票」を設置し、境界をお互いが合意したことを書として残すため「境界確認書」を作成し双方が署名・捺印し保管するケースが主流となっています。
これらの作業はさすがに個人では困難ですので、土地家屋調査士にご相談頂けると幸いです。

境界は、あくまで、お互いさまのことです。お隣と、いい人間関係が築ける事を願ってます。

 

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境界についてⅡ

前回、家を建てるとき・土地を買うときには、境界がハッキリしている事が大切であることをお話しさせていただきました。
実は、「土地の境がどこかご存知ですか?」とお訊ねすると、「役場に行けばわかる!」「法務局に行けばわかる!」とおっしゃる方が非常に多いのです。
しかし、残念なことに、公の機関でわかるのは一部の土地だけなのです。
この理由について、少しお話しさせていただきます。
土地の地番・面積・地目(宅地・田などの種類の事)・所有者は法務局で登記記録として管理されていますが、必ずしもすべての土地の正確な図面があるわけではありません。
古い話になりますが、江戸時代が終わるまでは、土地は各個人が所有するものではありませんでした。(○○藩の土地はそこのお殿様が治めるという具合に)
従って、地番などは必要ありません、年貢さえ徴収できればよかったのです。
それが、明治時代になり、土地が個人の所有へ、年貢から税金へ移行することになり、政府はそれぞれの土地に地番を付けて、その種類・面積・所有者を調査して管理することが必要となりました。
これが明治の地租改正事業と言われるものなのですが、この様に日本全国を一斉に調査する事は、なんと豊臣秀吉の太閤検地以来の大事業であり、それ以来、現在に至るまで行われていないのです。(これは国の怠慢だとしか言いようがないと思いますが・・・)。
この地租改正の時に各土地に地番を付け、何番の土地がどこにあるかを表した地図と、その地番・地積(面積)・種類・所有者を記載した台帳が作成されました。
この地図・台帳が現在の法務局の登記記録の原型であり、その後申請や事業によって記録が変更されたものを除き現在でも使用されているのです。
日本全国という膨大な範囲の調査・測量を、しかも短期間に行ったのです。
当時の測量の技術や精度は現在に比べて低く、正確性に欠ける部分が多々あることは当然とも思えるのですが、驚くべきは、その明治の測量結果が今も登記記録として使用されているという事ではないでしょうか。
現在、国や市町で国土調査事業として、新しい測量と地図の作成が実施され、明治の記録を修正していますがまだまだ出来ていない地域がたくさんあります。
また、図面はあっても、図面上のポイントが現地ではどこなのかまでハッキリさせることは大変困難な事で、ほとんどの場合-だいたいこのあたり-程度のものです。

唯一、平成以降に測量し法務局に登記をした土地については、正確な測量図が届けられており、この図面を基に境界を探すことが可能となっています。
このようなことから、「役所で境界がわかるのは一部の土地だけ」とお話ししたのです。
従って、「境界がどこか」となると、お互いが現地で立会って「ここで間違いないですね!」という確認をすることが最も重要なのです。

 

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境界について

みなさんは、自分が住んでいる土地の境界をご存知ですか?
「私の土地の境界はここだ!」、と周囲を指で示しながら歩くことが出来るでしょうか?
土地をお持ちの方は、ぜひ試してみて下さい。
ハッキリ示すことが出来る人は、意外と少ないのではないでしょうか?
住宅地など建物の多い場所では、ブロック塀やコンクリート基礎などでお隣と仕切られていますから、これが境界を示すものだと思っている方が多いようです。
その場合でも、ブロックの内側・外側・中心のどこかまでの、細かい事はよく知らない、わからない、と言う人は珍しくありません。
お隣が個人の土地で無く、道路や水路など場合も同様ではないでしょうか。
ましてや、境界を示すものが無い、田・畑・山林などの場合はなおさらです。
そう、「境界」って、なんとなくは分かるけどハッキリは分からない、意外と曖昧な物なのです。
また、いくら自分が「ここだ!」と言っても、お隣さんは違うところを境界だと思っているのではまったく意味がありません。
あくまで、お互いが同じ場所を「境界だ!」と知っていることが大事なのです。
住宅を新築する時などに境界が不明確なままだと、敷地を造成する時・ブロック塀を新たに造る時・建物の設計をする時など、さまざまな場合において支障を来たす事があります。
例えば、「境界がハッキリしていないのに、そのまま工事をしてお隣とトラブルになった。」
「自分の思っている境界で宅地造成工事をしたが、境界に間違いがあり、せっかく造ったものを壊してやり直さなければならなくなった。」の様な残念なケースは意外と少なくありません。
このようなことを避ける為にも、境界がハッキリしていない場合は、まずキチンと境界を確認することをお勧めします。
そして、これから土地を買う人は、境界がハッキリしている土地を買うことを強くお勧めします。

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